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もともと日本人の眼はメラニン色素が多く、瞳孔の周りの虹彩も茶色をしたいわゆる黒眼なので眼球内に余分な光が入らないが、白人の場合はこの色素が少ないため青い眼をしており、そのために眼球内に余分な光が入り込むことになる。つまり、白人は余分な光が眼球内に入るのでサングラスをかけないとまぶしくて生活できないのである。ところが日本人の場合は初めからサングラスを持って生まれたようなものであるから、特別な場合を除いてはサングラスをかける必要はないのである。
物をはっきり見るためには明るさと対比(目標と背景の差)が特に必要であるといわれているが、それをサングラスを使ってわざわざ見えにくくすることはない。サングラスの利用もTPO(T:Time・時、P:P1ace・所、O:O?asion・場合)を考えないと、かえってマイナスになることがあることを知るべきである。

2. 偏光レンズと調光レンズ

偏光レンズはレンズの中に偏光板が入っており、偏光板には軸が通っていてその軸の方向によって縦軸なら縦、横軸なら積と、軸の方向からの光しか通さない。
だから、例えば偏光面が水平になるようにして使用すれば、水面からの偏光性反射光を消すので海上あるいは海岸での作業者に喜ばれ、また、舗装道路やガラス面に対してもギラギラする反射光を弱めて視野を鮮明にする効果があるのでドライバーなどにも有効である。
このように、偏光レンズは積あるいは縦方向の光しか通さない、つまり、眼に入ってくる光の50%をカットするわけであるから、このめがねをかけたまま暗いところへ入ると肉眼の時よりも2倍暗くなるわけである。一方、眼の瞳孔は眼に入る光の量を調節しており、明るければ閉じ暗ければ開く。しかし、暗い所へ入る場合、瞳孔だけの問題ではなく眼の慣れ(暗順応)が問題で、偏光レンズをかけていると2倍も暗いところへ急に入ることになるので、それだけ眼の慣れが遅れることになり、極端にいえば真っ暗で何も見えないことになる。
また、フロント・ガラスに偏光板を使っている場合、偏光レンズの軸の方向とこのフロント・ガラスの軸の方向が一致しておればまだよいが、両方の軸が90度違った場合には眼には縦からも横からも光が入ってこず、外界が全く見えないことになるので注意する必要がある。
調光レンズは、レンズにハロゲン銀と元素が入っており紫外線の量によって色が変わるレンズである。明るいところに出ると紫外線によって元素に分解してレンズが黒くなり、暗いところに行くとこれらの元素が分解して普通の状態に戻る。
この調光レンズの場合、レンズの色の変わるスピードに問題がある。明るいところに出た場合、つまり、レンズが黒くなる場合は早く反応してサッと黒くなるが、明るいところから暗いところへ入った場合、つまり、黒くなっていたレンズが普通の状態に戻るには時

 

 

 

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